さんま物語

女川のさんま屋の翁が お客様に感謝の気持ちをこめて 魚屋の目線で綴ります。

さんま物語  3

 

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今回は私の独り言を聞いてください。

 

一口に「鮮さんま」といっても各商店の積送品には、大きさ、鮮度、おいしさにかなりの差があります。

 

 先ずは大きさです。

専門的に言いますと45尾サイズ(165g~170g脂質≒30)、50尾サイズ(150g脂質≒25)、55尾サイズ(135g~140g脂質≒20)が宅配のさんまになります。

45尾サイズは、シーズンの漁獲に左右されるため 各卸売市場では1尾当たりの値段が高くなるのであまり売れません。

漁獲量として安定していることもあり どうしても1尾あたりの値段が比較的安価になる50尾、55尾に売りが集中します。一部の商店はこの45尾を冷凍品にして高くなるのを待って販売する場合も かつて あったようです。

 

 次に鮮度です。

さんま物語り②でもお話ししましたが 一番は船内の鮮度保持です。

漁獲したさんまを船倉に入れる時の海水・真水・氷の割合を魚に最適にする技術を持っている漁船かどうかでそれは決まります。

次に、船側 とすれば 漁獲数量を第一に考えますので、『少し鮮度が落ちても船倉一杯に詰め込む船』か、『鮮度を重視し余裕を持って魚倉に詰め込む船』で違ってきます。

鮮度の良い魚は高く売れる、それを見極める仲買人が多い女川がどうしても良い魚を持った漁船がが多く入って来ます。

それと 沖ではいつも大漁とは限りません。漁の悪い日は船倉の半分、翌日に半分で満船になり帰航し水揚げする時もあります。

一日早く漁獲したさんまと次の日に漁獲したさんまは通常は鮮度が違ってきます。

ですから1号品と2号品に分けられ値段に差がつき入札されます。鮮度の違いはプロが見るとはっきり分かるのですが一般の方はもしかして分からなiくらいの鮮度の場合もあります。しかし鮮度が少しでも劣るとお客様の手元に届いたとき、内臓が溶け出す品もあっておいしさが落ちます。

 

 そして、美味しさです。

前にもお話ししましたがさんまは6月頃痩せた体で女川沖を北上し、7月には千島列島付近でたくさん餌を食べ大きく太く美味しくなって行きます。

しかし漁場は分散しており一足遅く北上したさんまはまだ痩せておりそれらが入り混じって漁場が形成され漁獲されるのも8月初旬から中旬にかけてのさんまです。

北海道周辺の漁場は目の前ですから鮮度は抜群です。

しかし餌を食べ始まったさんまは内臓に餌を残しており それを身と一緒に食べる通の方にはお刺身はまずまずですが焼き魚にして食べる味はイマイチかな…と思います。

 

 さんまにはこの様にいろいろあります。青魚のさんまは「されど秋刀魚」なので、ぜひ良い店を、良い時期を見つけて買って下さい。

 

                       文責:ワイケイ水産㈱ 会長 木村 喜一

 

※2014年秋 販促のおたよりとしてお客様へ作成したものです。

 

 

 

さんま物語 4

早や8月、さんまの季節がやって来ました。今回はさんま漁獲の規制についてお話をして見たいと思います。 

 

現在さんま漁獲国は台湾、韓国、中国、日本が主です。 

世界の海は他国が入れない自国の領海内と誰でも自由に漁獲出来る公海とに分かれております。

 

現在公海でのさんま漁は、日本の我々が10年前から叫んでいた資源保護のための操業規制について、ようやくアメリカ合衆国を初めとした7ヵ国によって話し合いが行われております。

昨今 テレビのニュース等でご存知のように台湾船が公海で漁獲を始めております。

 

日本でも水産庁が 5月から調査船でさんまの状況を調べております。 

それによりますと5月頃は例年ぐらいの数量だったのが、6~7月に入ってからは台風の影響もあって数も少なく、小型魚が多く見られたそうです。 

 

今年の日本のさんま漁の刺し網漁は もう始まっており、漁獲は低調、そのためか釧路魚市場では大型魚1匹2千円もしたそうです。

棒受け漁 の10t 未満船は8月1日、20t未満船は8月10日から、大型船は8月15日からです。

 

皆様もよくご存知の様に、さんまは8月~9月頃まではロシア海域で 餌を食べ大きくなっている最中です。

そこで日本はロシアにお金を支払い、お願いをして その期間ロシア領海内で漁獲をしている訳ですが、現在日本とロシアの関係は政治的にあまり良いとは言えず、ロシア領海で漁獲する鮭鱒が今年は例年の30%、来年は0ですよ と通告されました。

 

さんまもご多分にもれず大型船548t、中型船203t、小型船186tと 昨年の約半分ぐらいの数量に規制されました。

 

さらに懸念されるのは、ロシア海域で漁獲した魚を日本に持ち帰る時にロシア海域と日本海域との境界線にロシアのチェックポイントがあり、そこで検疫を受ける訳ですが、それが相当厳しくなる様だとの情報です。

 それに加えて、今年の日本国内での漁獲規制が昨年の 35万tから26万tと9万tも減になりました。

 

 今年のさんまをとりまくの状況は、このように非常に厳しい見方になっておりまが、私どもがこの度の大震災の時の教訓 

   “不安を自分で勝手にふくらませない。やってみないとわからないよ” 

の精神で、いつもどおり お客様皆様方に安心・安全・最高の鮮度のさんまを出来る限り安くお届けしたいと思っております。

 

                       文責:ワイケイ水産㈱ 会長 木村 喜一