さんま物語

女川のさんま屋の翁が お客様に感謝の気持ちをこめて 魚屋の目線で綴ります。

さんま物語り 5

   人生いろいろ、秋刀魚もいろいろ。

さんまにも いろいろな〔もの〕があると言う事を知って下さい。

 

 さんま漁は「大漁」の年「不漁」の年があり、大漁の時は一日の漁で満船になり 帰港し水揚げします。 

昨シーズンは、韓国・台湾そして中国等の公海上での乱獲、海水温が高いなどが重なって不漁の年になってしまいました。

 

 漁が少ない時は満船にするのに1~2日かかります。

すると 最初に獲れたさんまと翌日獲れたさんまではどうしても鮮度にバラつきが出来ます。良品と次品です。勿論ですが入札値段も大きく違ってきます。

つまり外観が同じように見えても さんまにも一級品と二級品があると言う事です。

 

「さんま物語り 2」でもお話しましたが,『漁獲方法』の違いと『漁獲時の処理の仕方』の違いで鮮度が大きく違い、入札価格にも影響してきます。

女川には、この『漁獲時の処理の仕方』の上手い優秀船が多く入港します。

(さんま物語り2に詳しく書いてありますので、どうぞ・・・)

 

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 次に、ここ三陸に住む人々にとっては、秋刀魚を送りご馳走したいなぁとお中元と同じように 日ごろの感謝のしるし・恩返しの贈答の機会でもあります。

さんまシーズンが始まると 「初物を」と出来るだけ早く友人・知人に食べさせたい一心で 「早く送って」とたくさんのお客様からご注文を いただきます。

 

しかし さんま物語1でお話ししましたがさんま漁は北海道から始まって次第に南下してくる回遊魚です。

三陸の各漁港や ここ女川港初水揚げは、北海道で初水揚げされるよりも1週間ぐらい(最近は もう少しかかるか)遅れます。

ですから 三陸で初水揚げの時は、北海道はすでに水揚げが始まっており、その北海道産のさんまは スーパーに並んでおります。

 

 内地の業者も「早く」と言われると(そんな事は無いとは思いますが)北海道から買付することは可能です。

もし、北海道で水揚げされたさんまを1日かけてトラックで陸送し翌日到着後、自社工場で選別して宅配便で皆様にお届けするとした場合、鮮度等には大きな違いが出てくると思います。

 

 ところが地元の漁港つまり私どもなら女川港で水揚げされれば、その数時間には 選別し 箱詰めし 積送します。

そして、翌日には日本全国に配達されます。(中国地方、九州、沖縄は翌々日)。

ですから、水揚げは遅くなりますが 鮮度は抜群で美味しさが違います。

 

また、8月中に水揚げされる秋刀魚の「初物」は 脂が少なくお寿司のネタ、刺身にはいいのですが塩焼きでは少し物足りなさを感じると私は思います。そして型が小さければ別ですが値段が高いです。

 

 この様に秋刀魚にもいろいろあります。

ぜひ、信頼出来る店を見つけて、『秋刀魚の味も こんなに違うのかなぁ、ああ おいしい』と、味わって下さい。

                                                             文責:ワイケイ水産㈱ 会長 木村 喜一 

 

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